深夜2時
お気に入りのジーンズにコンバースのスニーカー
紫色のパーカーを着込んで外に出た
秋の風が少し肌寒い気がした
深夜営業の中華料理屋のカウンター
さほど美味くもないチャーハンをひとり黙々と食べる
ひとつ席を空けて隣に座るオッサン達の会話に耳を傾ける
どうやら瓶ビールを飲みながら野球の話をしている様子だ
「今時のヤツらはキャッチボールもせーへんらしいわ」
「ベースランニングもせーへんからアカンのや」
「何事も基本が大事なんや!そういうチームは絶対勝てへん!!」
まったく興味の沸かない会話、くだらない話、脂っこいチャーハン
ビールを一本注文しようかと思ったがさっさと席を立ち会計を済ませた
夜の風が少し肌寒い気がした
横断歩道の信号待ち、ふいに見上げた夜空、月は見えない
24時間営業のファーストフード店でホットコーヒーをテイクアウト
タバコに火を付けて歩き始めた
駅とコンビニの間に伸びる一方通行の道を北に向かって歩く
雑居ビルを通り越し、スナック街を右手に眺め、住宅街へと入っていく
静かな夜の街を歩くのが好きだ
アーケードの手前の公園まで歩いた
一匹の黒猫、一組のカップル、犬を散歩させてる人
ベンチに腰を下ろしタバコに火を付けた
壊れたメガネが地面に落ちてる
ポケットから携帯電話を取り出し電話帳から番号を探し出す
緑色の発信ボタンを押しかけてやっぱりやめることにした
そのかわりメールを送信した
なんとなく夏のことを思い出す
この公園で暑い夏の夜に花火をした
来年の夏もまた花火をしよう
季節はいつの間にか秋に変わってしまった
ぬるくなってしまったコーヒーを一気に飲み干した
さあ、そろそろ帰ろうか?
シャッターの閉まった商店街を家に向かって歩いていく
コツコツと自分の足音だけがアーケードに反射して聞こえる
少し体が温かくなってきた
風邪ひかないように・・・
最後にもう一本タバコに火を付けた
[1回]