また絶景の中をバスに揺られ17時間、マナリに戻ってきた。
いくら絶景とはいえ二回目ともなると感動も薄れ、ただ激しい揺れとケツの痛みに耐えるのみ・・・。
レーには結局2週間ほどの滞在になった。
実はレー滞在中、強烈な無気力感に襲われ所謂ところの“沈没”のような状態に陥ってしまった。
元々がそんなにアクティブな旅人でもないので日ごろから沈没気味ではあるが・・・。
たぶんラダックまでやって来た事に満足してしまったんだろうね。
初めの数日は町を歩いたり、見所に行ったりしてそこそこ楽しんでたわけ・・・。
ゴンパって呼ばれる僧院で壁に描かれた仏画を見たり、丘の上に建つストゥーパ(仏塔)に行ったりして。
だいたい町も歩き回り終えた頃、何もする気がなくなり、さらには旅をしてて一番の楽しみである食事すらも何をどこで食っても同じような味にしか感じなくなり、食事の楽しみすらなくなった・・・。
このままじゃ無気力にダラダラと崩れていくんじゃないかと思われた時、数日遅れでマナリからやってきたドイツ人カップルに救われた!!
彼らが「車をシェアしてヌブラバレーに行かないか?」と誘ってくれた。
だいたいおれはヌブラバレーがどんなとこでどこにあるのかも知らないし、パーミット(入境許可)も取らなきゃいけないし面倒だなと思い、断るつもりだった・・・。
しかし、「ラクダにも乗れるぞ!!」の一言で口説き落とされてしまったわけ・・・。
まぁ、ラクダに乗りたいとは思わないが、近くで見てみたいのと出来ればタッチしてみたい・・・。
というわけで一泊二日のヌブラバレーツアーに行ってきた!!
おれたちふたりとドイツ人のカップル、さらに当日追加でオランダ人の夫婦を加えて車は出発。
オランダ人はいろんな国の言葉を喋れるなんて話を聞いた事があるが、事実その通り!!
もちろん二人とも英語はペラペラでさらにフランス語、スペイン語、ドイツ語にオジサンの方は中国語も少し喋れるとの事。
しかもこの夫婦、年齢はおれの両親と変わらないぐらいだろうか?とにかくスーパーアクティブで、トレッキングやロッククライミングが趣味、日本にも来たことがあるそうだが、その時も東京から北海道まで自転車で旅したという強者・・・。
世界にはいろんな人がいるもんだ・・・。
ちょっぴりそのアクティブさを分けてもらいたいね。
とにかく車はひたすら山道を登り、世界一高いところを通っている道路へ!!
なんと標高5600m(ぐらいあるらしい・・・)!!
看板にはフィートで記されていたから正確な高さはわからないけど・・・。
そこから山を下ってヌブラバレーへ!!
世界の果てのさらに果てに向かってる感じ。
ゴンパ見学と食事休憩を挟んでついに待望のラクダ!!
やっぱりラクダは砂漠が似合う。
間近で見るラクダはデカイ・・・。
触ると噛まれるよって言われたがスキを見てちょっぴりタッチ・・・!!
これで初日のプログラムは終了し、一泊お世話になる宿に到着して一日目は終了。
またこの宿が最高に良かった!!
家族経営の小さなゲストハウスで周りには何もない、したがってここで夕食と翌朝の朝食をご馳走になる事になった。
食事までの時間、皆お喋りを楽しんだり、本を読んだりと思い思いの時間を過ごしていた。
おれはというと、宿のオバチャンにお願いしてキッチンの様子を覗かせてもらっていた。
オジサンと小学生ぐらいの子供とオバチャンが今夜の食事の準備をしてる様子を見ていると、いてもたってもいられず手伝わせてもらう事にした。
とはいっても料理の邪魔をしちゃいけないから、野菜を切ったり食器を運んだりしたぐらいだけど。
オバチャンは料理の最中ずっと外国人旅行者であるおれたち一行に気を使ってくれている様子だった。
「キッチンの見た目は汚いけど、ちゃんと綺麗にしてるからね」
「この鍋、外側は汚れてるけど中はピカピカでしょ?」
「食事の準備遅れてるけど、みんな怒ってないかしら?」
「特製のラダックスパイスなんだけど、みんな気に入ってくれるかな?」
とにかく、とにかく、何でも気にするオバチャン・・・。
おれはその度に「大丈夫!オバチャン!!誰も怒らないし、日本の鍋も外側は焦げて汚れてるし、おれの家のキッチンの方が汚いし・・・」と気にするオバチャンに笑顔でオッケーサイン!
出来上がった料理をみんなより先に味見させてもらったが、お世辞じゃなく今まで食ったベジタブルカレーで一番美味しかった。
このオバチャン特製ラダックスパイス入りベジタブルカレーは食卓でもみんなから大好評!!
おれは心の中で「やったね!おばちゃん!!」とガッツポーズ!!
人のことを思って作った料理には魔法がかかる!!
食後、おれはキッチンでチャイの作り方を教えてもらったり、ちょっぴりシャイなオジサンに呼び出されお酒までご馳走になった。
オジサンからもらったラム酒で少し酔っ払い、ふと見上げた夜空には満天の星空。
「今夜の星は綺麗だね」なんて言いながら夜空を眺めるロマンチストではないけれど、その夜の星空はとんでもなく綺麗だった・・・。
天の川がはっきり見える星空なんて生まれて初めて見た・・・。
もし、もう少し酔っ払っていたら星空の綺麗さと、この家族の優しさに“ウルルン”してしまっていたかもしれない・・・。
その夜はなんだか心がほっこりしたまま眠りについた。
翌朝、朝ゴハンをご馳走になりオジサンとオバサンに見送られツアー二日目の始まり。
二日目はというとゴンパ見学をして夕方レーの町に戻りツアーのプログラムは終了。
おれはというと寒空の下、長い時間星空を眺めていたせいで風邪を引いてしまいほとんど車の中で眠ったままだった・・・。
こんな感じでレーの滞在を終えて無気力状態からも立ち直り、そのかわりにちょっぴり風邪気味になり、ベトナムで知り合ってマナリ、レーと多くの時間を過ごしたドイツ人のカップルとも「次はドイツで!!」と約束を交わし、マナリの町に戻ってきた。
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